プレスリリース 2015.11.13
2015年11月13日
鉛弾の使用規制強化を求める要望書を提出
(公財)日本野鳥の会(事務局:東京、会長:柳生博 会員・サポーター数約5万人)は、環境大臣宛に、猛禽類保護の観点から狩猟及び鳥獣害被害対策での銃猟における鉛弾の使用の規制強化を求める要望書を提出しました。
要望事項
- 狩猟及び鳥獣害対策における鉛弾の使用の禁止をすすめること。
- 当面、行政が行う指定管理鳥獣捕獲等事業においては、鳥獣の放置の場合に限定せず鉛弾の使用を禁止すること。
- 当面、業として捕獲を行う認定鳥獣捕獲等事業者による捕獲において鉛弾の使用を禁止すること。
- 保護収容または死体回収された猛禽類の鉛中毒検査の実施を行うこと。
理由
今年の5月から施行されている「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(以下、鳥獣保護管理法という。)では、第2種特定鳥獣管理計画の策定やシカ、イノシシを指定管理鳥獣に指定するなど全国的に捕獲の圧力を高める改定が行われています。また、環境省みずから「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」を開催するなど、狩猟による捕獲を推し進める施策を行ってきています。これらによって、今後全国的に銃猟の増加が想定され、このことは野外に残される鉛弾の全国的な増加を引き起こす可能性があります。 北海道では、鉛中毒により死亡するオジロワシ・オオワシが多いことから、平成16年の狩猟期より原則として鉛弾の使用規制を行っており、さらに平成26年よりエゾシカを捕獲する目的での鉛弾の所持を禁止する措置をとっています。一方、環境省では平成12年より一部地域を鉛散弾使用禁止区域に設定しているに過ぎません。
北海道では、2003年に初めてクマタカでも鉛中毒が確認されています。また、本州でも2012年に諏訪市で感電死したクマタカの胃内容物から、大量のシカの毛が確認されています。オジロワシ・オオワシは北海道を中心に生息していますが、クマタカは全国的に生息しており、これらのことは今後銃猟に伴う鉛中毒が全国に拡大する可能性を示唆しています。
鳥獣保護管理法では、捕獲した死体の放置は禁止されていますが、重いシカの死体の場合、利用されない部分が放置されるケースが多いと考えられます。またその場から逃げて、離れた場所で死亡する個体もあり、それらを食べたクマタカなどの猛禽類やクマなどの獣類が、鉛中毒になることが懸念されることから要望するものです。
シカの個体数管理に先進的に取り組んでいる北海道が、鉛弾対策にも先進的に取り組んでいる事例は、生物多様性保全と獣害対策の両立が可能な好事例考えます。国においても積極的な取り組みを求めるものです。
本件に関するお問い合わせは
公益財団法人 日本野鳥の会
担当:自然保護室 葉山政治 hayama@wbsj.org
伊藤加奈 ito-k@wbsj.org
〒141-0031 東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル
TEL:03-5436-2633 FAX:03-5436-2635 http://www.wbsj.org
日野鳥発 第72号
平成27年11月13日
環境大臣 丸川珠代 殿
公益財団法人 日本野鳥の会
理事長 佐藤仁志
東京都品川区西五反田3-9-23
鉛弾の使用規制の強化を求める要望書
狩猟及び鳥獣害対策等における鉛弾の規制に関して以下の要望をいたします。
- 狩猟及び鳥獣害対策における鉛弾の使用の禁止をすすめること。
- 当面、行政が行う指定管理鳥獣捕獲等事業においては、鳥獣の放置の場合に限定せず鉛弾の使用を禁止すること。
- 当面、業として捕獲を行う認定鳥獣捕獲等事業者による捕獲において鉛弾の使用を禁止すること。
- 保護収容または死体回収された猛禽類の鉛中毒検査の実施を行うこと。
理由
今年の5月から施行されている「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(以下、鳥獣保護管理法という。)では、第2種特定鳥獣管理計画の策定やシカ、イノシシを指定管理鳥獣に指定するなど全国的に捕獲の圧力を高める改定が行われています。また、環境省みずから「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」を開催するなど、狩猟による捕獲を推し進める施策を行ってきています。これらによって、今後全国的に銃猟の増加が想定され、このことは野外に残される鉛弾の全国的な増加を引き起こす可能性があります。 北海道では、鉛中毒により死亡するオジロワシ・オオワシが多いことから、平成16年の狩猟期より原則として鉛弾の使用規制を行っており、さらに平成26年よりエゾシカを捕獲する目的での鉛弾の所持を禁止する措置をとっています。一方、環境省では平成12年より一部地域を鉛散弾使用禁止区域に設定しているに過ぎません。
北海道では、2003年に初めてクマタカでも鉛中毒が確認されています。また、2012年に諏訪市で感電死したクマタカの胃内容物から、大量のシカの毛が確認されています。オジロワシ・オオワシは北海道を中心に生息していますが、クマタカは全国的に生息しており、これらのことは今後銃猟に伴う鉛中毒が全国に拡大する可能性を示唆しています。
鳥獣保護管理法では、捕獲した死体の放置は禁止されていますが、重いシカの死体の場合、利用されない部分が放置されるケースが多いと考えられます。またその場から逃げて、離れた場所で死亡する個体もあり、それらを食べたクマタカなどの猛禽類やクマなどの獣類が、鉛中毒になることが懸念されることから要望するものです。
以上
参考資料
北海道における鉛中毒発生状況
平成12~26年度オジロワシ傷病個体収容結果
平成12~26年度オオワシ傷病個体収容結果